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Part 1  インデックス・ファンドとは「投信業界の嫌われ者」である

 

ある投信セミナーでの体験

 ある外資系の投信運用会社が都内のホテルで開いたセミナーを見に行ったことがあります。

大ホテルのフロアを借り切り、大広間を何度も移動させられるセミナーは盛況で、まさに「貯蓄から投資へ」の流れを象徴しているかのようでした。けれども、肝心の投資セミナーの内容自体は、ほとんど覚えていません。

 唯一強烈な印象を残したのは、平均株価や株価指数に連動するインデックス運用をしているパッシブ・ファンドと、ファンドマネジャーが銘柄を選択するアクティブ運用をしている投資信託の運用成績を比較したグラフを見せられたときのことでした。

おそらく営業担当社員であると思われる講師が、さも当然のようにこう言ってのけたのです、

「このグラフに見られる通り、ほとんどのアクティブ・ファンドはインデックス運用のファンドに比べて成績が良いのです」。

これには、正直言ってびっくり仰天してしまいました。

 

資産運用の「常識」に反する

 これが何故驚くべきことかと言えば、「アクティブ運用をしているファンドのほとんどはインデックス・ファンドに勝てない」というのが、資産運用の入門書にも出てくる、言わば「常識」であるからです。

 しかも、セミナーでは、その「常識」について一言の言及もありません。

投資信託について、ちょっと勉強した人なら誰でも知っているであろう「常識」と正反対のことを言って置いて、「どうしてそうなるのか」など何の説明もないところに、この外資系投信会社、ひいては投資信託業界の体質、そしてその多くを覆っているであろう「インデックス・ファンド憎し」という雰囲気がありありと感じられ、忘れられない印象を残しました。

 実際、ファンド投資について多少勉強した投資家ならば、そのような「非常識な」グラフを見せられれば、「運用手数料(信託報酬など)の影響は考慮されているのか」とか「サンプルとして取り上げられたファンドはどのような基準で選ばれたものなのか」など、疑問はいくらでも生じるでしょう。

ところが、このセミナーを主催する投資信託運用会社は、受講者が資産運用の入門書も読んでいないド素人だろうとタカをくくったのか分かりませんが、この「常識との食い違い」について一切説明しませんでした。また、この手のセミナーの常として質疑応答も全くありません。講師が会社(または業界)に都合の良いことを言って、それで終わりです。

この投信会社は、本拠地アメリカではいざ知らず、その後日本での成績は思わしくないようですが、あたかもそれを予見させるかのような、投資家に対する誠意を欠いたセミナーであったと思います。

 

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