インデックス・ファンドの「手数料が安い」は本当か??
さて、これらのファンドの運用手数料(信託報酬)について調べていくと、意外なことに気付かされます。
一般に、インデックス・ファンドは「コストが安い」と思われています。先にも見た通り、インデックス運用のコスト(手数料=信託報酬)が低いからこそ、多くのアクティブ運用のファンドに勝てるのです。
しかも運用成績による差別化をはかれないインデックス・ファンドは、必然的に手数料を引き下げることで差別化し、競争せざるを得ません。
だとすれば、競争を通じて必然的に手数料の率が下がり、やがて「ぎりぎり利益の出る限界となるべき一定の比率」へと収斂していくと予想されるでしょう。
ところが、この期待は見事に裏切られるのです。
手数料に根拠はあるのか?!
すなわち、調査の結果、すべてのインデックス・ファンドが「手数料が安い」というわけでは決してない、ということが判明したのです。
実際に調べてみると、同様のインデックスに連動しながら、あるファンドは低コストである一方、別のファンドはかなりの——アクティブ・ファンドと同じかそれ以上に——高コストであるという事実が明らかとなりました。驚くべきことに、その差は実に数倍、場合によっては10倍以上(ただし年金用のファンドと比較した場合です)ともなります。そんなことが信じられるでしょうか。
いったい全体、「競争原理」はどこに飛んでいったのでしょう。
確かに、手数料の比率にある種の傾向は見られます。それを「収斂」と言い換えても良いかも知れません。
けれども、その「例外」もまた多く、しかもその程度が納得し難いほどに大きいので、結局のところ「ファンドの手数料にはさしたる根拠などないのではないか」と疑われるほどなのです。
インデックス・ファンドの手数料が示す傾向
とは言え、非常に大まかな傾向のようなものはあります。そこで、その運用手数料(信託報酬)の示す傾向について簡単に説明しましょう。
それは、次のようなものです。すなわち、
1. 株式投資信託と債券投資信託では、株式の方が高くなる。
2. 国内ものと海外ものでは、海外ものの方が高くなる。
3. 年金用のファンドでは低く設定されていることが多い(個人年金を除く)。
4. 一般に、外資系の投信運用会社の設定・運用するファンドで高く設定されていることがある。
以上となります。
このような傾向が見受けられる理由について、大まかな推測をすることは難しくないでしょう。
まず、株式投資信託と債券投資信託を比較したときに株式投資信託の手数料が高くなることは、比較的容易に理解されると思います。やはり株式の方が売買コストがかかると考えられるからです。
国内ものと海外もの(例えば国内株式投資信託と海外株式投資信託)を比較した場合についても、同様の理由で海外ものが高くなることは、容易に想像されるでしょう[注]。
[注]ところが、この内外差に関しては、実際にどれほど合理性があるかは疑問です。それというのも、海外で販売されているインデックス・ファンドの例を調べてみると、例えばイギリスで販売されている米国株式のファンド手数料率(「エクスペンス・レシオ expense ratio」という)をイギリス国内株式ファンドのそれと比較しても決して高くはなってはいないからです。
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