投資信託から「プライベート・バンキング」へ
プライベートバンクの手数料は高いか
あるスイスのプライベート・バンカーとプライベートバンクの手数料について話していたところ、
「私たちの銀行では、お客様に最高のサービスをご提供していますから、はっきり申して、手数料は高いですよ」
と自信満々に言われました。
ところが、そのバンカーに、日本の株式投資信託の手数料について話すと、びっくり仰天されてしまいました。
日本の株式投資信託の手数料が、スイスのプライベートバンクの手数料と同じくらいか、もっと高かったからです。
「それって、お客様が損をしても手数料が取られるということなんですよね?!」(投資信託の販売手数料は、最初に天引きされるので、顧客=投資家に損失が生じても、決まった額が必ず販売会社の手に渡ることになっています)。
「顧客が儲かれば銀行の収益も増え、顧客に損失があれば銀行も減益となる」というプライベート・バンキングの仕組みの中で仕事をしてきたバンカーにとっては、にわかに信じがたいことのようでした。
投資信託の「不公平さ」について
言うまでもなく、1万円から買える「株式投資信託」と、運用に数千万円は必要な「プライベート・バンキング」を同列に論じることはできません。従って、ここで「手数料」というのは、正確には「手数料率(パーセンテージ)」のことです。
「株式投資信託」は高コストの商品だから仕方がないと言われれば、それは確かに高コストなのかも知れません。「株式投資信託」では、1万円しか買わない顧客=投資家にも、3000万円分を購入する投資家にも、同じように目論見書を送ったり、運用報告書を出したりしなければならないからです。しかも、1万円、10万円しか買わない顧客=投資家の方が、3000万円買う顧客よりもはるかに多いだろうというのは、だいたい想像がつきます。しかし、だからと言って、1万円しか買わない投資家にかかるコストを、3000万円購入する投資家が負担しなければならないというのは、どうしても納得できないでしょう。
日本の株式投資信託の場合、「1万円の顧客」も「3000万円の顧客」も、受けられるサービスの内容は基本的に同じものです。「3000万円の顧客」は、「1万円の顧客」にかかる印刷代、送料やら何やらを負担させられており、よく考えれば極めて不公平なシステムだとしか言い様がありません。
「1億口」買えば割引も・・・
もっとも、1億口とか、よほど大口の投資であれば、多少の手数料割引はあるようです。しかし、同じ投資信託を1億口買うというのは、年金基金などの機関投資家であって、個人ではまずあり得ないと思います。もし個人に1億円の資金があれば、個別の株式を買っても十分に分散投資が出来るはずですし、投資信託を買うにしても数種類購入してポートフォリオを組むのが普通だと考えられるからです。
そこで、もし4種類の投信に2500万円ずつ投資すれば、個々の投信ではもはや「大口」とはみなされず、「1万円の顧客」と同じパーセンテージで手数料を支払わなければならなくなります。販売手数料が3%、信託報酬が2%とすれば、最初の年にかかる手数料はおよそ元本の5%ですから、3000万円を投資するなら約150万円、1億円なら500万円が確実に消えていきます。パーセンテージだけ見ると少ないように感じられるかも知れませんが、この低金利時代に、決して無視できない金額であることは間違いありません。
投資信託からプライベートバンクへ
このように考えるなら、「株式投資信託」とは、1万円、10万円や20万円を投資する顧客=投資家にとっては、極めて有利な金融商品です。「目論見書」や「運用報告書」の費用などを、多額の投資をした別の投資家が負担してくれているからです。これに対して、多額の資産を運用している個人投資家にとっては、「株式投資信託」は、あまり割りの合わない商品であることは間違いありません。一体、何が悲しくて「1万円投資家」のための目論見書や運用報告書の印刷代や送料を負担しなければならないのでしょうか。同じ費用をかけるなら、すぐれたファンド・マネジャーを雇ったり、商品購入の際に専門家(セールスマンでなく)のアドバイスを受けられたりできるようにしてもらった方が良いに決まっています。
このことに気付けば、3000万円台の投資家は、早晩、「株式投資信託」から「プライベート・バンキング」へと資金を移動させるはずです。スイスのプライベートバンクに口座を開けば、5%とか6%、7%などの高額のファンド手数料が1%、2%台にまで割引され、場合によってはほとんどゼロに近くなることさえあるからです。スイスのプライベートバンクの経営は極めて効率的で、低コストであり、顧客への還元率は極めて高いものがあります。(日本ではプライベート・バンキングは「富裕層のプライドをくすぐる」ことであるとして、やたらと豪華な応接室を用意したりする金融機関もあるようですが、そんな「費用をかけて不合理なことをする」ことがプライベート・バンキングであるわけがありません)。
スイスのプライベート・バンキングとは、合理的な方法で、1%でも、0.5%でも顧客への還元を高めることであるというのが当方の理解です。このサイトとでも言及している「複利の効果」により、わずか0.1%程度の違いであっても、長年が経過すれば大きな運用益の違いとなって現れます。これから本格的な資産形成に取り組み、子孫のために財産を残そうとする人たちにとって、その意味で「スイスのプライベート・バンキング」は極めて自然で、合理的な選択であると言えるのです。
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